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5.6に改善した。
プロブレムの経過(図5)
1)よくなった項目
?ジュースや缶コーヒ等一日5本飲んでいた清涼飲料水はほとんど摂取していない。ノンカロリーの飲料水に変えた。
?2人前食べはなくなり、この食習慣は改善し定着している。
2)変えられないもの
?遺伝因子。症例は小児肥満であり、脂肪細胞数が多い。一卵性双生児の弟、母親も肥満である。
?環境的因子。現在の仕事は勤務時間が長いため、時間的、肉体的、精神的に厳しく、休日は一日中疲れて寝ている生活を送っている。
そのような労働条件のため運動する時間がとれない。以前の中学生時代の経験により柔道をすれば減量可能なことは知っているが時間的に無理な環境にいる。
3)改善途中
日常生活では大体改善されているが、食行動の朝食抜き、ストレスで食べる、栄養アンバランス、夜遅い食事、早食べ、いずれも生活習慣に起因していると考えられる。
初期計画の評価
1)3か月で12?減量に成功した
2)検査所見の改善の目的は達成した
3)リバウンドの問題がPOSによって明確にされた

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図6減量プラン(過去3回の指導でも今回の指導でも成功)

リバウンドさせない

 

考察
当クリニックでは健診、人間ドック受診者の結果説明と同時に食事栄養指導を図6に示すようにPOSでは?情報収集、?問題の明確化、?問題の解決立案、?計画の実施により成果をあげている5)。本例は職場の健康診断を目的として受診した男性である。Body mass index(BMI)は38.7(kg/?)で一般にBMI35以上の頻度は少なく、佐々木6)、井上7)はBMI30以上は耐糖能、高血圧、脂質代謝異常の関連性が高いと述べているが、本例も同様異常がみられた。
体重の5%から10%程度の減量で医学的治療効果は十分達成されているという報告がある8)。本例は10%以上減量し、検査所見は改善され、減量は成功したといえる。
今回POSによって明らかにされたリバウンドの問題点は次のとおりである。
?性格的に短期間での実行なら可能である。糖尿病患者の男性群の性格傾向として自責、自己反省が強く短期間に実行するが、その反動で崩れやすい報告をしたが、同様の性格傾向がみられた9)。
?体重は2か月で12?の減量は実行できた。今後のリバウンドを防止するために本例では生活習慣を変えることに尽きると考えた。

 

 

 

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